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銅は 動物の体内で行われる代謝を作用させる為に非常に重要な 微量元素の一つです。下記の機能には欠かせない
成分です。
銅が不足・欠乏しますと これら6つの機能維持に障害・弊害をもたらしますが、ここで注意すべき点は、動物の種類に
よってその影響が変わるという事です。
例えば、牛や羊は 銅を体内に半年程度備蓄しておけますが、馬は2週間が限度だと言われています。これは すなわ
ち、牛や羊への銅の与え過ぎは毒性をおびることになりますが、馬の場合においては集中して与え過ぎない限り「与え 過ぎ」にはならず、むしろ少し投与の間隔が開くだけで「不足」状態になってしまう訳で、これが 銅の特徴と言えます。
銅は 動物の生理的体系を語る上で非常に重要な以下の2つの酵素を従属させています。
これらの酵素は 触媒として血管の中で働き、上記の6つの銅効果の中でも 特に A の弾力組織には重要で この弾力
組織の形成が競走馬にとって非常に重要な 『 腱 』にも関連してきます。
この様に 銅 とは銅 のみから得られる効果だけでなく、銅によって馬に必要な他の成分を有効にさせる補助的役割 も
あるのです。
骨の形成過程において重要な成分に 『 角質(コラーゲン) 』があります。
角質は、タンパク質(プロテイン)が 『 ポリペプチド連鎖 』 によってつながれた1本のプロテインの糸が編まれた様に集
合したものから出来ています。
銅が不足しますと、この 『 ポリペプチド連鎖 』に必要な 『 リジル酵素 』 と 『 アミン酸酵素 』 も必要量発生しなくなる
為、上図の つなぎ部分が弱体化し、プロテイン、すなわち角質 同士のつながりを失わせ、最終的には角質自体を弱 体化させてしまい、これによって骨部の基礎構築体系に支障をきたします。
尚、上記の 『 ポリペプチド連鎖 』 は、蹄部の角質生成にも関連してくる為、銅不足は蹄部にも影響を及ぼす.....と言
う事が出来ます。また、ポリペプチド連鎖は アミノ酸の欠乏を防ぐ補助剤的役目もになう事を忘れてはなりません。
銅の欠乏による最初の兆候の1つが 毛色の変質と外皮の艶が失われてくることであると言われていますが、これは銅
が含む、「ポリフェノール酸化酵素(メラニンを生成する酵素)」が必要なだけ存在しなくなるからであり、例えば 馬の毛 を1本 手にとって見た時に、その毛の根元(生え際の部分)と毛先の方の部分の色が異なったり、メラニンが不足する と見た目にも毛艶が悪くなります。
馬体を見た時、体調が悪くない(特に胃腸の調子)にも関わらず、毛艶が悪い場合は 単純に それは 銅不足が原因で
あると判断する事も出来るのです。
鉄分は 骨髄で 血球や ヘモグロビンを生成するのに不可欠な成分ですが、鉄は通常、 肝臓や 脾臓で貯えられてお
り、これらを 骨髄に輸送する為に 『 トランスフェリン( 血しょう糖蛋白質 ) 』 という いわゆる運搬システムとなるものが 必要です。
このシステムが正常に働いてこそ 肝臓や 脾臓にある 鉄が骨髄に運ばれるのです。
また、このシステムを スムーズにさせる為には 『 セルロプラスミン 』 という酵素が必要で、この酵素と銅の結びつきが
非常に強い事から 銅不足というものが、このシステムが働かなくなってしまう原因となり、結果的には 肝臓や 脾臓の 鉄が有効利用されないという理由につながります。
分かりやすく言うなら、銅は乗客であり、 『 トランスフェリン』はバス。そして『 セルロプラスミン 』がそのバスを動かす燃
料という事になり、バスが乗客を乗せる事で売り上げを得る、つまり銅が骨髄まで『 トランスフェリン』に乗って初めて 血球や ヘモグロビンを得ることが出来るようになるのです。
以上の事から考えて、馬が貧血症になったり、血球不足に陥ったりする根本原因は銅不足にあり、また、いくら飼料な
どで鉄分を補給してそれが肝臓や 脾臓に蓄積されたとしても体内で銅が不足していればその鉄分は 結果的に全く役 立たないということになります。
銅不足が鉄不足、或いは鉄の有効利用を妨げる為、結果的に D.O.D.との関連性や その予防に直接関係してくる訳
です。
馬の銅不足は以下の 直接的原因 と 間接的原因 が考えられます。
− 銅はどれだけ必要か −
3歳以上の馬は通常 1日に 280mgから 300mg( 2歳までは その半分の量でもよい )の銅を摂取する必要があり
ます。
前項の銅不足の発生の中で述べた銅の不足理由に幾つか実例がありましたが、それらを加味したとしても、おおよそ
70〜90mg の銅が、それまで与えられて来た牧草や配合飼料などから既に摂取出来ていると仮定する事が出来、不 足分として あと200mgの追加が最低必要 になってきます。
また、何よりも 馬が 牛や羊と違って銅を体内で長い間貯蔵しておくことが出来ない種類の動物であるということから考
えると 銅の補充というものは継続的に必要であると言う事が出来ます。
− 銅を与え過ぎるとどうなるか −
「微量元素とは....」の説明の中で 微量元素というものは、安全域から毒性域までに段階があることを説明しましたが、
はたして銅の場合はどうなるのでしょうか?
アイルランドにおいて毎日1,200mgの銅を、受胎している複数の繁殖牝馬たちに120日間継続して与える実験を3回
(3年間)行い、何の毒性も出てくることがなかったと言う結果を出しております。従って銅は 微量元素の中で最も 「安 全域の広い成分」であることがわかった訳です。
− 与えるタイミング −
前述の「 銅と骨の関係 」や 別の項に記した 「 D.O.D. 」などの事を考えても、やはり繁殖牝馬 には必要量の銅 を与
える事からスタートすると言う事が結果的に その繁殖牝馬自体の体調維持や、離乳するまでの生まれてくる当歳馬の 体内の銅不足を防ぐ事になります。
従って、全ての繁殖牝馬に対して受胎した時点から銅補給を考えることをお勧め致します。また、例えば 出産予定日
から逆算して 2ヶ月を切るような時期まで来ていても決して遅くはありません。
すぐに銅の補給を始めましょう!
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